「王様の恋あそび」藤谷陽子
「王様の恋あそび」藤谷陽子
コアマガジン/drap COMICS
○時期CEO候補×産業スパイ
攻めのノリが映画やアメコミの、THEアメリカ人!って感じで、
あまりBLでお見かけしないタイプで新鮮。
切れ長一重(奥二重?)淡白顔の巻野と、
彫りが深くて顎がっしり顔面圧力のカミナの、
ビジュアルの対比がすごく良い。
身体も筋肉も外国人をしっかり意識して描かれていて、
比較した時の巻野のしなやかな細身がよりエロい。
少年の様だったり、支配者の様だったり、
肉食獣の様だったりと色んな面を見せるカミナが魅力的で、
一筋縄ではいかないところからのデレッデレの落差も最高。
寝起きの無精髭とかたまらん。
お仕事というよりも、駆け引きや化かし合い、
文化の違いによる性格のぶつかり合いがメイン。
漠然とした鬱屈を抱き、スパイなので本性隠して笑っていた巻野が、
カミナとの関係で不器用な笑い方を経て、ちゃんと笑えるようになっていく。
カミナの深く大きく時にやんちゃな愛、偉大!
2巻は蜜月中心。
「僕とサオダケの日々」会川フゥ
「僕とサオダケの日々」会川フゥ
エンターブレイン/B's-LOVEY COMICS
猫の言葉が分かる小説家のサオダケと、ピュアッピュアDKリョウの、
年の差あまあま時々猫、ちょいちょい編集者なお話。
「愚か者ども、愛を知れ」に収録されていた「猫やサオダケと僕」の続編。
設定もキャラも大好きで、続きを心底欲していたので、
この二人で丸っと一冊出てくれて、テンション上がりまくった思い出。
続編ではリョウのピュア度がグレードアップ。
こんなピュアな良い子そりゃあ周りは心配になるよ!から始まる、
DK同士の友情やドタバタも良い塩梅の、優しい人達で作られた優しい世界観。
サオダケの家で一緒に過ごし、たまにキスをする穏やかで幸せな毎日。
テストや進路の悩み、年長者だからこその臆病で視野の狭くなる部分、
若い子の広がる未来に抱く諦念、全てをひっくり返す若さ故の力業。
年の差ものの醍醐味がぎゅっと詰まってます!
ゆっくりゆっくり育んで、まだまだこれからの二人。
「愚か者ども、愛を知れ」会川フゥ
「愚か者ども、愛を知れ」会川フゥ
エンターブレイン/B's-LOVEY COMICS
モテリーマン木野がEDになり、自棄になって始まる関係。
木野の自分勝手さクズさがいっそ清々しくて憎めない。
振り回されながらも、顔の良さに抗えない岩倉と何とも良いコンビなので尚更。
キャラの性格やお話の性質上あまり気にならないけれど、
途中で攻守逆転するので、苦手な人は苦手かも…
同時収録の2シリーズもお薦め。
「轟木の春」はDK同士の不純な動機から始まる、
マイナススタートからの挽回もの。
これでもかって言うくらい甘酸っぱい。
「猫やサオダケと僕」は、3編の中で一番薦めたい。
可愛がっていた猫の代わりに現れたおじさんに、
DKが「撫でて」と要求されるお話。
ホラーでも変質者ものでもない。
普通のDK風体なのに、一人称僕のリョウのピュアさ!
リョウがピュアだからこそ成り立つ出会いから始まる、
年の差あまあま時々猫のお話。
続きが読みたいと熱望していたら、続きが出た!
「the way I am」四宮しの
「the way I am」四宮しの
茜新社/EDGE COMIX
死んでしまった飼い猫が、子ネコを連れて来る夢を見た鈴木。
そんな鈴木の前に突然現れた、猫耳の猫柳先輩。
でも猫耳が見えるのは鈴木だけで…
猫柳の猫耳がナチュラル過ぎて文句無しに可愛い!
有る無しによってしっかり区別されていて、状況が分かりやすい。
鈴木が天然ぽくてほんわかしたキャラに見えて、
時々スッと闇が降りて来てゾクッとする。
傷付きたくない、楽だから、と自分一人で完結して来た鈴木。
でもそれって結局、相手の事はどうでも良いって事。
相手からしたら、もう知らないってなるところを、猫柳は放り出さない。
放り出さないけれど、猫柳だって怖くて不安で仕方ない。
好きだから利己的で理不尽で暴力的な感情も抱く、思春期らしい青くささ。
面倒臭い鈴木と男前な猫柳。
DK同士のほんわかゆるいなんでもない日常でありながら、
ふとした拍子に紛れ込んだ違和感が、視界を掠めるようなお話。
「道頓堀フライングジーザス」櫻川なろ
「道頓堀フライングジーザス」櫻川なろ
竹書房/BAMBOO COMICS Qpa collection
○イケメン元ヤン×地味リーマン
目が覚めると隣に裸のイケメンが…と酔った次の日あるあるで始まり、
セフレスタートと思いきや、
イケメンと付き合って死にたかったと吐露した北斗の願望が叶い、
あっさりお付き合いがスタート。
学生時代の友人との関係から思考が不憫な北斗が、
大和と付き合えてるのが、本当に幸せそうで可愛い。
健気で酔うとエロ可愛いという、おいしいテンプレっ子。
大和は腹が据わって器のでかい、
大家族の大黒柱という見た目ヤンキーのスパダリ。
年下らしい余裕の無さもたまに垣間見えてキュンとする。
いざという時、意外に真摯な言動をとる北斗と、
余裕の無い大和の普段と違う一面の対比もお見事。
イケメンと付き合いたい。
このまま切れるのは惜しい。
お互い打算的でどこかふわふわした感じで始まる二人が、
じんわり気持ちを積み上げていく。
大和の家族の絆にほっこりする。
「転居しました。マリアージュ編」石田育絵
「転居しました。マリアージュ編」石田育絵
リブレ/BE×BOY COMICS
○セレブ社長×平凡リーマン
恋人同居からの結婚編。シリーズ最終巻。
形式的なものというよりも、一生一緒にいる覚悟を決めた=結婚といった感じかな。
恋人として、互いの考え方の違いや様々な問題を消化して来た二人が、
今度は外部からの介入で、最大の山場を迎える。
平凡な淳之が久継のパートナーである事が気に食わない、
久継の友人・レナートが、淳之の先輩・山之内も巻き込んで引っ掻き回す。
付き合いたての二人だったら乗り越えられなかったかも知れないけれど、
今まで頑張って消化してきた事がしっかり身になっている印象。
成長をじっくり見守れるというシリーズものの強みを満喫出来る。
山之内も後腐れなくすっぱり対処して、淳之の強さが際立って心地良い。
引っ越しから始まって、新居を建てて再び引っ越す迄の、
タイトルが良く効いた構成。
切りが良いけど、新婚編が読みたかった気持ちも…
「転居しました。2」石田育絵
「転居しました。2」石田育絵
ビブロス(リブレ)/BE×BOY COMICS
○セレブ社長×平凡リーマン
独占欲が非常に強い我儘社長の久継と、押し切られて同居を始めた淳之の続編。
前巻より更にラグジュアリー感も糖度もアップ。
名実ともにしっかり恋人同士になった二人。
でも恋人同士だからこそ降りかかる問題の数々を、
歩み寄って消化していく様が、変わらず丁寧に描かれている。
26年ノーマルで生きてきた淳之には"パートナー"という言葉は重たくて、
いくらラブラブでも怯んでしまったり、釣り合うのかどうしても悩んでしまう。
でもそこからの、あなたといられることだけが大事と思えていくまでに
ゆっくり成長していくのを応援したくなるんだよ!
久継、嫉妬ばっかりしてないで見習って!
嫉妬は久継の専売特許だけれど、漸く気持ちが追い付いてきて、
今巻では淳之側の嫉妬も。
淳之の芯が強くて、久継の生活習慣に染まらない庶民感に、
ほっこり癒される。